もーまんたい。
竜がないた。
バロンに冬の冷たい風が吹雪いて、冷たく儚い雪が、ぽつりぽつりと姿を表し始めた頃、何かに気がついて、竜がないた。
竜の乗り手、リチャード・ハイウインドが、その鳴き声に気がついて辺りを見渡すが、なにもない。
「どうしたんだ?」
竜を宥めるように撫でて、落ち尽かせよとする。だがしかし、竜は落ち着く気配がない。魔物か。という考えに行き着いて、背中に掛けていた槍を掴んで姿勢を低くして音を探す。ガサガサとなる藪の向こう。リチャードは息を殺して藪を見つめて、出方を伺った。
「くえっ」
「は?」
草藪から顔を表したのは、黄色の愛らしい鳥。チョコボだ。何かいいたげにリチャードの周りを二三走り回り、草藪に駆け込んだ。
「くえー。」
「な、なんなんだ?」
「くえっ。」
混乱を浮かばせるとまた、チョコボが現れて、リチャードの鎧を嘴でつついて一鳴き。何かいいたげだが、リチャードにはチョコボと意識疎通できる能力は持ち合わしていない。
「くーえー。」
「ついてこいと、か?」
「くえっ!。」
嬉しそうな声を上げて、チョコボは草藪の中に駆け込むのをリチャードが追う羽目になるのである。
[次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!