もーまんたい。
10.三番目の奇術師-Maniac Replica-。
夜、アガルトの村外れには雪が降る。
無彩色の中の有彩色。雪を割り花が咲く。
その力強く生きる花を避けて、僅かな色彩の差が伺える銀が白を踏みしめて、質素な十字架が見えてきた。
「赤華の集団、か」
まぁ、なんて皮肉なんだろうな。ぼんやりと考えてしまう自分がいた。もう、遥か地に居る。居ない仲間たちの姿を思い浮かべる。
「大切だからこそ、なくなる。」
だから、私は手放した。全てを。
屈み込んで手を合わす。心のどこかでこうなるのを、予想してたかのような感覚を思い出した。
「もしかすると、私は誰よりも罪人なのかもしれない。な」
人の血で汚れきった手。殺めることさえ、躊躇はない。生きるための必須事項だったのだ。
「後悔もしてないはずなんですがね」
思い返せば悔やんでばかりだと思う。なんとなく自己嫌悪しかしていない。と漏らす。
「家族だもんな」
知り合いじゃなくて、友達じゃなくて、親戚じゃなくて、兄弟じゃない。
一丸の家族か。
小さく口角を歪めて、銀が笑った。
その瞳の青は、悲しそうに映った。
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