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記念簿。
かざみさん宅娘さんと 夜はあれから。
かざみさん宅の娘さんアルト嬢と
うちの子サメラとニーナのお話。(FF6)


遠くで幽霊がなんとか、王様どこ行ったとの声が聞こえる。まだ、遠くにいそうな気配だ、問題はないか。と判断を下して、サメラはため息をついた。
サメラ・ルドルフは困っていた。異説帰りに、チームメンバーの帰還の準備のために転送魔法を準備していたのだが、どうも手違いで、ぜんぜん無関係な世界に仲間たちを送り出したみたいで、その回収・送り返しの作業のために、砂漠の中の城に到着していた。

「…ニーナ?ここにいるのか?ニーナ?」

呼びかけても、答える人は居らず、石畳をたたく音と、魔法で作った手のひらサイズの炎の照明を手のひらに浮かべ、サメラの望む人物の名を呼び続けた。
「…マラコーダの奴め、転送魔法中に仕掛けてきたせいで、大迷惑だ。やっと全員そろったから送り返せるとか思った矢先だったのに。」なんて、ブツブツ文句をあふれ出しながら、サメラはずるずる石畳に背を預け、座り込んだ。冷たい石壁がサメラの体温を奪いつつ、また夜の冷たさを取り戻そうとしている。心地よさが、気持ちよくて、うっすら目を閉じ、照明魔法を消した。
……あー。家に帰りたい。そういえば、長いことカインに会ってないな、最後どうやって出てきたっけ?遠い昔のような記憶を呼び起こしつつ、そういえば、フレアでも放って逃げてきたか。会いづらいよな。とぼんやり考えていると、視界に金が見えた。
ここ、ダムシアンだったのかと顔を上げたが、予想とは違う人物だった。

「レディ。こんな夜遅くにどうしたんだい?」
「……旅のものだが、この近くで仲間と逸れてしまってな。」
「夜遅くの砂漠横断も感心しないがね」
「…昼よりましだ。」

あの灼熱地獄はどうも好かん。と言い放ち、窓の外を見る。果てなく続いてい見える砂漠に、もしかして返す言葉を間違えたか。と眉根をひそめたが、この暗がりの中、妙に動いて刺されるのもかなわない、と判断して、サメラは役者モードに入った。

「で、レディ。その仲間とはどこではぐれたんだい?迷い人の情報ぐらいなら門番が持っているかもしれないけれど、レディはどこから入ってきたんだい?」
「……ギクッ……いや、私たち本業が魔物退治を生業としていて、この城で幽霊が出ると聞いたから、退治の話を持ちかけられたから、来たのだが。」

ありがとう役者業。そして、ぺらぺら嘘を吐くこの口!妙な感激に包まれサメラは静かにガッツポーズひとつついた。

夜はあれから。
(で、レディ。お名前を聞いても?)(ついでに言わせてもらうが、レディなんていう妙齢じゃないし、結婚しているぞ)(冗談がお好きなようで。)(どこさわってんだ!変体!…とりあえず、もう一回り場内探索するから、そっちよろしく!じゃあ!)(そんな気の強いところも素敵です。)(寄るな触るな近寄るな!)




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あきゅろす。
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