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記念簿。
じょんこ嬢宅娘さん。 昔の日。カイン
じょんこさんお宅の娘さんクーシェさんのお話です。



バロンの歴史は古く長い、即ち王の歴史は国の歴史。復習目的でクーシェはバロンの書物庫に入り込んだのであったが、問題はちらほら。

「あとちょっと…なんだけどぉ」

背伸びして手を目一杯伸ばした先でギリギリ指が触れるか触れないか。残念なことに脚立やら踏み台はなく。まだ後少しで届きそうなのに。とクーシェは息を吐ききって体を何センチか先にのばすように反対側の肩を下に押した。

「クーシェ。」
「うわあぁっ!カイン」

国の書架の大半は禁閲書物であり、そんな場所にいるクーシェが怪しまれるのは当たり前で、睨まれるような視線に身じろぎしながら、カインをそっと見上げた。

「クーシェがここに入ってくるのが見えたから、何をするのかと思って見に来たが。」

なにをしようとしているんだ。と聞かれて、クーシェは実は、ね。と言葉を放つのである。

「バロンの長い歴史の中で、竜騎士がいつから居たのか気になって。」
「うちにそんな資料は少しずつあるが。」
「自分で調べたかったの。」

だって、自分で調べなきゃ覚えれないし・・・。と言えば、で、あんなに必死に背伸びしてたのか。とカインは納得したように、顎に手を当ててふむ。と理解したように頷いた。

「どの本だ?」
「え、いいの?」
「セシルならうっかり破るかもしれないが、クーシェなら大丈夫だろう。」

だが、扱いは丁寧にな。と念押しされて、釣られた神妙な表現を浮かべ、首を縦に振った。

「で、どれだ?」
「あの背表紙が赤の。かな?」
「かな?」
「…それかな、って思って。」

仕方ない奴。とカインはため息をついて、適当な2、3冊をクーシェの手の中に収めさせる。

「これぐらいならバロンの歴史と竜騎士の記述のある文献だろう。」

ここで読むなら問題ないだろう。と言い放ちかけた刹那、入り口の扉が開いて、ベイガンが入ってきて、文献やらなにやらを取り上げられ二人して部屋を追い出されたのであった。

昔の日。
(あ、この本。あの時に取り上げられた本だよね。カイン)(そんな昔を覚えていたのかクーシェ)(…だって、あの後カインから借りたんだもん、覚えてるよ)(…で、つまり何がいいたい?)(また貸してほしいな)(…次は何を調べるつもりだ?)(竜の血統について、気になって。)(わかった、また見繕う。)(ありがとう、カイン

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あきゅろす。
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