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空。空。空、(FF6)
リルム生誕。2011


「ニーナ!」

どん!と思いっきり体当たりを食らって、ニーナはその勢いの根源を見た。いつもよりも綺麗にめかしこんでいるのを見て、ニーナは首をかしげた。

「ね、かわいい?」
「・・・かわいい。」

無表情につむがれる「かわいい」という単語の意味をニーナは探した。狭い自分の世界の外の特殊語だろうか。と、結果が行き着きかけていたが、違う。セリスが昔に言っていた単語だと、ふと思い出した。

「今日ね!お誕生日なの!」
「・・・誕生日?」

・・・また、知らない言葉に、今度は首をかしげた。・・・お誕生日。と言う単語を砕いてみた。文字の中の誕生、は何を意味するのだろうか、むっと考えてみた、受精卵になった日とでもいうのだろうか?・・・いや、人間受精卵になった瞬間なんて分からないし・・・

「今日は、私が生まれた日!」
「・・・生まれた。日。か?」
「そう!」

命が自分で動き出す日。をお誕生日と言うのか、と口の中で反芻して、理解した。生命が自立する日。と言うのなら、私はどこに当てはまるのだろうか、と思考がめぐりだす。魔力ある人間と幻獣の代名詞である竜と混ぜ合わせて生まれた娘、あのひどくにごったあの液体から出た日。がその「お誕生日」と言うのなら、それになるのだろうか?それとも、生まれて物心をついて覚えた日になるのだろうか・・・。

「ニーナ?ニーナー!」
「・・・考え事。ごめん。」
「で、今日は町で洋菓子買って、お誕生日会だよ!」
「・・・会?」

そう、甘いお菓子を買ってみんなで食べて、生まれてきてありがとう!のひだよ!とニーナの服のすそを掴んで、リルムが町に繰り出そう?とせっつく。

「・・・生まれてきてありがとうなのか?」
「どうして?」
「生んでくれてありがとう。の日?違う?。」

父や母がいてくれてありがとうの日。違う?
ニーナが小さく首をかしげた。自分が生まれた日だと主張するならば、そのために一番がんばるのは、父や母であり、生まれてくる自分ではない、とニーナは行き着いたのであった。違う?と確認の意味の「違う?」を繰り出せば、リルムも同じように首を傾げたが、すぐにもどして、ニーナの腕を掴む。

「よくわかんないけれどそんな日でもあるよ!」

ニーナ、ケーキ買いに行こう!みんなにありがと!って言いに行きたいの!
ねーねー。とせかすリルムにつれられて、二人で町の中に消えたのであった。

ありがとう!
(うーん。イチゴとチョコレートどっちにしよう・・・。)(好きな方。)(・・・どっちもー。)(・・・そう、なら、ふたつとも)(いいの?ニーナ?)(船、人多いし。)(エヘヘヘヘありがとう!ニーナ!)(片方はウーマロ)(えぇええ!)

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あきゅろす。
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