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空。空。空、(FF6)
彼女は、試作品だ。

そう問われて、肩が小さく揺れた。薄緑の液体が広がる床にへたり込み、違うといわんばかりに小さく首を振った。違う、私は、私は・・・?
失敗作の行方は知っている。額の石を割られて、壊されるのだ。それが怖くて、私は唯眠っていた。この水の中で。
小さく震えて、ただ、違うと首を振る。失敗じゃない、私は。私は。

「ニーナ。」

光に呼ばれ、視線を向けた。この名をつけたのは、貴女しかいない。

「いい?ロックたちと一緒に逃げなさい。」
「…はい、セリス様。」

声を出す前に、消えた光を見送って、小さくニーナは口を開いた。
彼女しか呼んでくれないこの名前は、貴女だけへの首輪。
消えた光を見つめ、そこには何もなくなった。
いなくなった光を見つめて、ぼうっとそこを見つめていると、崩れ落ちる音が聴覚捕らえた。

「いかん、今のショックで、カプセルのエネルギーが逆流しだしたんじゃ。ここは危ない、急げ、こっちだ。」
「おい、行くぞ。」
「・・・はい。」

あの人の指示だから。とふらりと立ち上がって、よたりと地面に手を突く。久々に起きた為なのか、回る世界に頭を振り、自分の感覚を呼び起こす。

「おい、行くぞ!」

ぐい。と手を掴まれて、走る。久しぶりの世界に、左手のぬくもり。そして、ニーナ。久しぶりの感覚に、風がニーナを呼ぶように、爆発音が猛り鳴く。遠くで爆発する音を思うかのように、下に下るエレベータに移動を任せて腰を下ろし、じっと上を見た。
赤が閉められた世界の向こう側で爆発する音に耳を清ませて、音を聞いていた。

「彼女は?」
「彼女は、試作品だ。あの娘はニーナと呼んでたな。皇帝のために作られた実験体であり、幻獣の遺伝子に人間の遺伝子を混ぜた人工物だ。」

竜は永遠の命とも言われるがゆえに、彼女が生まれた。皇帝が永遠と世界を望んだがために作られた存在じゃ。と、研究者シドがそういった。
その言葉に絶句したのか、ただ、沈黙が、そこで流れ、上で起きている爆発と、下るエレベータの音を聞いて、目を閉じた。


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