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女子力!

それは不意に言い出した話。
夕餉を終えて、片づけをするサメラとカインがなにかといい盛っているのを眺めていたら、リディアが話を変えた。

「ね、エッジ。」
「おう、どうした。」
「ううん。エッジ、あんまり無駄毛ないな。って」

ほら、腕とかないじゃない。うらやましいなって。リディアは隣に座るエッジの腕を見て、まじまじとそうつぶやいた。

「じゃあ。エブラーナで施術を受ければいいじゃねえか。」

エブラーナの文化でな。受けに来いよ。国一番の術者に施させてやるからさ。

「やったね。ローザ。今度行こうね。」
「そうね。お言葉に甘えるわ。」

うれしそうにローザとリディアは頬を緩め、サメラにも話を振った。

「…私もか?」
「一緒に行きましょうよ、ね」
「…いや、私はいい。アレはもう、いい。」
「なにか。あったの?」
「…いや。個人的にうん。いや、団長の奴がむちゃくちゃだから問題なんだが・・・」

人の毛をきにしてたら燃やしやがって・・・。と隅で小さくなって、ひざを抱えた。底根に恐怖が宿っているようだ。とも思いつつセシルもその話に聞き耳を立てた。

「ね、いつもどうやっているの?」
「エブラーナはな。」

と意気揚々と話すエッジから離れて、サメラは既に耳に手を当ててこまめに震わせて聞こえないようにしているのが見える。本当にいやなんだろうな、と思いつつまたエッジに視線を向ければ、得意げに話しているのである。まぁ、いっか。なんて思いセシルは片割れに視線をもどした。

「…なにしてんだ?」
「…いや、なんでもない。後ろの馬鹿が過去の恐怖心を引き出して来るんだ。」
「…洗いもんでもしてこい。」
「すまん。助かる。」

なににしてあいつはそんなに恐怖しているんだとカインはいぶかしげな目で見つめサメラの背中を追った。

「熱い布で清掃して、暖めたクリーム塗って毛穴に刷り込んでよ。」

その後にクリームを取り除くとな大体の毛が面白ェほど抜けるんだけどな。その後に細かな毛を取り除くだけなんだぜ。すっげー感嘆だぜ。まるで自分が施術者だといわんような口ぶりで言い切るエッジは、俺が教えてやろうか。なんていい出す始末。人のローザに何手を出しているんだ。と言い切ろうとしたところに、槍がエッジに刺さった。飛んできた方向をみるとサメラが投げたらしく、一気にエッジに駆け寄って小さな片割れは相手の胸倉を掴んだのだった。

「…エドワード!どういうことだ・・・」
「何しやがんだルドルフ!」
「なにもこうもないだろう!そんな方法初めて聞いた!」
「もともとこれだって!」
「私が、団長から聞いたのは・・・・・・聞いたのは、団長あの人か!」

なんだよ、脇の無駄毛は燃やすに限るとかいったの!そうだよな。アイツマラコーダだもんな。炎はお友達だとか親戚だとか言ってたよな。そうだよな、そうだもんな。そりゃあアイツは燃えても死なないもんな、魔物だもんな。

「畜生、はめられた!」
「それ、俺にあたんなよ!」
「もっと早くにいっておけ!馬鹿弟子!」
「オーボーだ!ルドルフ」
「問答無用!もっと早くにいってなかったから私は燃やされて半分死ぬ羽目になったんだぞ!」

女子力!
(サメラ、僕も手伝うよ)(おい、セシル。俺はお前に何もしてねえっての!)(問答無用だよ。口答えするだけ無駄だ、エドワード)(おい!)

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