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女の方が一枚上手だった…。
「は?サメラがさらわれた?」

どういうことだセシル。声を荒くしたインはセシルの胸ぐらを掴み有無を言わさぬような目地からでセシルを睨んだ。いや、どうもこうも。あちらさんが、僕とサメラを間違えたんだよね。とセシルは苦笑した。

セシルが外交の為に出るから、護衛としてサメラがついていった。同じ顔をして、同じくらいの長さの髪で、違うとしたら、違うとしたら背丈ぐらいで、端から見たら同じ顔した彼らを取り違えることは至極容易い。

「セシル・ハーヴィだな」

野蛮そうな覆面の男が吠えた。自分の片割れを見れば、面倒そうに眉根を寄せて、頭を掻いた。

「我々と共に来て貰おうか。」
「……断る。と言えば。」
「ちょっと、」

サメラに静止の言葉をかけようとしたが、肘打ちを喰らい言葉が詰まる。

「無数の魔物が世界を襲う。」
「……国民の命を引き換えにされては手も足も出ないね」

よろしく頼むよ。サメラ。カインに一言、まぁ、適当によろしく。とニヤリと笑い、野郎に挟まれサメラは消えたのであった。

「そんな話があったのか。」
「きっと、大丈夫だよ」

満面の笑みの親友は、何を思って笑ってられるのか、胸倉を掴んで、どなりあげようとした時だった。

「ただいま。」
「どうだった?」
「憲兵所に突っ込んだ」
「ありがとう、サメラ」
「…で、なんだ。二人で抱き合うような距離で見つめ合ったたのか?。」
「うん、カインが離してくれなくて。」
「おい、セシル!」

君、今。どっちに怒ってる?予想斜め後ろの質問に、カインは尚も苛立ちセシルを揺さぶる。

「カイン!セシルがこれ以上馬鹿になって仕事を放棄したらどうするつもりだ!」
「サメラ、意外と酷いよね。」
「安心しろ、セシルは元から馬鹿だ。」
「君も酷いよね!」

兄弟夫妻に精神を傷つけていく言葉にセシルは、後で覚えてろ。と一人堅く誓うのであった。

「いや、元々おまえが全ての原因だ。」
「いやいや、意味が分からない。」

セシルを挟んでサメラとカインの痴話喧嘩が盛大に火蓋を切られたのであった。

「…お前なっ」
「いい加減にしろよ!この馬鹿竜騎士っ」
「俺、怒るぞ」
「怒ったら離婚な」
「悪かった。」

女の方が一枚上手だった…。




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あきゅろす。
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