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はじめての御使い。

「コルト、客が来るから、町の入り口まで出迎えて、ついでに客と家の分と、ケーキ買って来てくれないか。おつかい、できるだろ?」

はじめての家族と初めてのお願いに、コルトは大きく頷いて、サメラから必要なものを持って家を飛び出て、すっ飛んで帰った。

「サメラさん。お客さん、どんな人ですか?」
「聞くと思った。会えば解るよ。絶対、お前に声をかけるからな。」

自信満々のサメラに、曖昧な返事をしてコルトは城下町に降り立ったのであった。ジリジリ太陽が地面を焼く快晴の空を恨めしげに睨みながら、コルトは空の染みを見つけた。ズーか何かかな。と染みを見つめていると、なんか段々大きくなって、コルトの隣に落ちた。
かなり凄い音にも関わらず砂埃だけが舞う、土埃が無くなった先に、緑の髪をした線の細い女がコルトの隣で爽やかに笑ってコルトに言葉を投げた。

「ね、あなた。コルトちゃん?」
「…そうですけど、」

こんな知り合い嫌だな。なんて思っていたら、その女から激しい包容により思考が強制的に停止がかかる。

「いや、あの。あなたは。」
「私、リディア。サメラの友達。サメラに会いに来たの。」

空から飛んで降りる知り合いはいない。寧ろ空を飛ぶんだろうとコルトは首を傾げた。そんなアクションを見てリディアは、ね。と話を切り替えた。

「空を飛んだの気になる?」
「うん。」
「なら、一緒に行こっか。」
「おつかい、頼まれてるの、待ってて」
「偉いねっ。なら、おつかい終わったらイクシオンに乗ってサメラの所ね。」
リディアとコルトは手を繋ぎ、街中に消えお使いを果たしてサメラのもとに帰るのであった。

はじめての御使い。
(…御使い、ケーキだったのね)(リディア、お前、あれだけ召喚してここにやってくるな。って何度言わせれば解る?)(イクシオンでケーキがぐしゃぐしゃ)(召喚獣に頼るなっていつも言って(サメラは魔法に最近頼りすぎたよね、オチとかっ)…ぐっ…)(…俺のケーキ…)(はいはい、リディア以外の分は別で作ってる)(えぇっサメラ、酷い!)(なら、コルトもリディアも、歩いて帰って来いっ)(んでから、コルト)(なに?サメラさん。)(リディアのお守りありがとう)(私、もう大人だよっ!)(いつまで経ってもお前は、ガキだっ!)

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