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想像で鳥肌!。

式が終わって数時間。サメラは今晩寝る部屋が無いことに気がついた。どうやら現バロン王はサメラをずっと昔から部屋を用意していたのだが、その部屋は既に別の人間が住んでいたので、カインの部屋に上がりこんだものは良いものの、カインの部屋は一人用であり、大人二人が入ればかなりの狭さとなるがゆえに、サメラは今日は野宿かな。と判断を下そうとした刹那、カインがヒューレットに話をつけてくるといって、サメラはそこに取り残された。
何をするわけでもなく、暇をもてあましたサメラはカインの部屋を物色することに決めた。机と椅子、それからベットと本棚。簡素な部屋の中で、視線は本棚を射た。

「エドワードみたいにエロ本・・・ないか。」

アイツはずっとローザを見ていたんだもんな。有ったら・・・しばく。バイオレンスなことを考えつつも、窓の外を見た。高い位置にあるカインの部屋からは水路裏の湖が良く見える。
そのほとりにある東屋に見慣れた姿が二つ。白と金、セシルとローザの姿が見えた。二人仲良く並びセシルが抱き寄せて、二人で微笑み会う姿をみて、サメラはなんとなくいいな。とも思い、自分たちに姿を重ねてみた。色彩も身長も真逆に立たせて、腰を抱かれて・・・無理だ。
想像しただけで、鳥肌が立ってきた。自分を小さく抱いて、今思い浮かべたことを頭から離そうと頭を振って椅子に座り込めば体調が悪いか?と頭上から声が降る。

「…お帰り、平気。変な想像して、気味悪がっただけだ。」
「そうか。」
「で、どうだったんだ?」
「引越しだ。」
「は?」
「俺も荷物をまとめて、上層階の家族用の官舎に入る。」
「・・・おい、まて。話が見えん。」

カインはヒューレットのところへいったんだよな。どうして私の部屋の確保でお前の引越し話がはじまる?首をかしげて、考えていると、カインから額をつつかれて、お前はアホか。と放たれた。

「お前、さっきまで、何をした?葬式か?」
「・・式だったな。」
「で、俺とお前はなにだ?」
「さひほほふううになひましは!」

頬を引っ張られてまともに言葉としてならなかったが、下院は満足そうに笑い、だろ?と屈託なく放つ。

「なら、同じ部屋に住んどけ。だと。」
「・・・そうか、じゃあ。先にそっちに行くぞ」
「お前も手伝え!」
「断る。どうせ机の中にローザの隠し撮り写真を入れてるのを見られてもいいのならな。」
「あるわけないだろう!」
「じゃあ、書斎の本のなかか?」
「な、断じてない!」
「・・・まさか、ローザじゃなくて、セシルの・・・」

もっとあるか!あったら怖い。切り返しの応報を食らわせて、サメラはげらげら笑った。そして、カインから拳骨を喰らって、しぶしぶ部屋の移動手伝いをするのであった。

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