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役目は終えてませんし。

空に投げたカードは、三つに割れて燃えそれぞれに見合う形で。千切れ燃えて盾が現れた。

「クラン、君の分はどうするんだい!」
「私はあなた方を守るのが使命ですから、気遣いなく。」

ひらひら手を振る、きっと仮面の下も笑っているだろう。そんな下らない自己犠牲がセシルには不満であった。最初から。

「クラン、あなた!」
「使命は先に通す事。置いてください。青い牙!」

氷のような気体をを纏わせる言葉にセシルは一人思い出した。間違いない。彼はサメラだとも確信を得た。声を上げようとした刹那、轟音がなる。嵐のような風と、飲み込みような熱気。人の焼ける独特な臭いと、焼け付くクランの影。隣のローザが叫ぼうが、盾は彼らを遮り、炎も音も遮断した。

盾は未だに情報を奪い、クランが何をしているのか。なんて見えはしない。世界は赤の世界。ただひたすらに収まるのを待つしか彼等には手が無かったのだ。
ただひたすら待つことが一瞬のようで永遠にも感じた。熱風は、盾にぶつかり、音を鳴らす。

「無事かい?」
「私よりもクランを。」
「クラン殿!」

地に倒れるモンク僧を庇うように、クランがうずくまっていた。
背から熱を受け、ローブが焼け千切れ、仮面は死守したものの留め金の隙間から焼けて短くなった黒の髪が見えた。

「ケアルダ!クラン、クラン。怪我を見せて。」
「……ローザ…?問題ない。ケアルガ。」

ローザの手を借りて、よたよた魔法を繰り出して、自分の傷も周りの怪我も治すように広げた。

「クラン。大丈夫なの?」
「えぇ問題なく。焼け残った部分で顔を隠せますから。」
「じゃなくてクランの傷は。」
「大丈夫です、カードと青い牙のおかげで、怪我なく。」

ローザはひと通りクランの腕やらを触り傷口を探したが、見つからなかったので、酷くほっとした顔をした。

「お前たち何があった。」
「シーラ様のご容体…」
「真か!」

ヤン様にお知らせしようとダムシアンに急ぐ中、不意打ちを受け、ローブのお方が居なければ我々も生きていられたか、どうか。

「私はファブールに戻ろうと思う。セシル殿、ローザ殿、クラン殿はダムシアンへ。」
「シーラが心配だ」
「私が行けば力になれるかも。」
「このお二方は、聞き分けよろしくないようで…かくゆう私も、役目は終えてませんし。」

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あきゅろす。
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