[携帯モード] [URL送信]
「愛人-loveres-、盾を!」

からり。と石を蹴り飛ばせばからりころり。とそれは飛んで崖の下まで落ちていった。ぽう。と見つめてしばらく、殿が歩いてきた。

「遅れてしまって申し訳ないわ」
「いえいえ、先に様子を感じてみましたが。魔物が一匹いる。みたいでしたので。」
「感じる」
「えぇ道化は魔物を、互いが牽制しつつよけて遮るのも一種の技能でありますから。」

おかしな人ね。と笑われるこそが道化の指名、平和に穏便穏やかにをモットーとしてますから。さて、皆様お集まりになられたようですし、先に参りましょう。
戦いになると思いますが、そこは何卒。私めの役目をお忘れなく。
慇懃な程頭を低くしての礼を一つ、そんなクランの高く上げられた方の手には投げナイフが一つ飛んだ先に居たのは青いボム種が一匹。
目に刺るのを見て、獣の前に飄々と歩き出せば獣が鳴いた。

「戦端倒者は私ですから。」

刺さったナイフを足場にしてクランは空に駆ける。

「皆さん離れておいたほうが、身のためですよ。明日の朝日を拝みたいならね。…さてと、死相ましょうか。ファザーボム」

ゆるく笑った道化が戦陣を切り一撃を見舞う。軟弱そうな見た目に伴わない実力は先ほども見たが、セシルの脳裏に長いこと会わない片割れを思い出す。
暴れるファザーボムを拳でいさめながら、クランは鋭い目線で射抜いて腰元から自分の得意な武器を抜いた。

「星-star-。コメット。」

カードを空に投げれば、風を切るそれは火花を散らしてカードから星を吐き出した。それを奇妙に見つめるセシルだが、クランは猶予を与える暇なくカードを取り出した

「世界-world-。ヘイスト」

自らに魔を展開し、加速したクランはニヤリと。と笑ったような気がした。仮面をつけていて見えるはずもないが。気のせいか。と戦闘はクランとボムの大戦を見ていた。

「月-moon-、円月輪!」

金色に輝く武器をカードから取り出して、切りつけるように空を駆けた。クランは、高々と振り上げて一気に振り下ろす。二分化したか。と思えたが虚しく空を切り、ボムは震えた。

「爆発するぞ!」

これはクランの経験から。怒鳴りあげれると、周りはすぐさま守りの体勢にはいる。ひとりは防御魔法を、ひとりは回復魔法を、ひとりは防御の体勢を誂え、クランはカードを一枚投げ出し。カードを呼んだ。

「愛人-loveres-、盾を!」


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!