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俺達は生きてる。

団長ちゃん。式典始めるよ。と手を引かれて舞台の真ん中に歩みよる、顔見知りばかり居る…これは完全に逃げれないじゃないか。どうする。と思考に明け暮れ始めると式典は慎ましやかに始まろうとしている…が、これを待てない者もいる。

「前置き長ェよ。」
「こら、パロム」
「団長ちゃん、手。」

あ、つい。いつもの癖でなぐりかかろうとしていた。…これはポーリュシカに口留めするまえにボロをだしてしまいそうだ、ともサメラは感じた。
あのままだと、殴っていただろう。こればかりはダンサーに感謝しなければ。
…にしても、知り合い多すぎだろう。小さくため息を吐き出した。

「そう、それから、今日、僕の妹が帰ってきたんだ。ポーリュシカ。」
「はい!はじめまして、三番目の奇術師-Maniac Replica-で踊り子をしてますっ、ダンサー…違った、ポーリュシカ・クリスフォンミューアです。」
「生まれてすぐのポーリュシカを三番目の奇術師-Maniac Replica-に預けたんだ。先代国王が決めた事だけどね。ダムシアンも立ち上がれたんだ。光を持たない妹もこの地で生活しやすいように、やっと迎え入れれたんだ」

さぁ、前置きはここまでにしておこう。懐かしい面々も揃っているみたいだし、どうかくつろいで、楽しい一時を。
ギルバートの言葉が終わったと同じタイミングで、パロムとポロム。そしてセシルとローザに四方を押さえられた。お前らヒソヒソしてると思えばろくな事しないな。

「オメェ。三番目の奇術師-Maniac Replica-の人間か!」
「まぁ、一時的な団長をしているが」
「みんな死んだと聞いてるけれど。数年前に全滅だと」
「…そういうデマも流れ出るみたいだが。俺達は生きてる。」

キリッと切っ先を喉元に、突きつけられて、目の前の騎士は放つ。顔を出さないのも儀礼に反すると思うけど?と言われて喉が鳴った。
ヤバい。…と思うのか。対策はバッチリだ。

「…昔、疫病を患って以来。他人様に見せれぬ顔になりまして。空気を壊したくないので先にダムシアン王には言ってあったが。見たいか?」

と問い掛ければ暫く考えて、彼の出した答は否。やはり彼は優しいままだ。と思いサメラは目を伏せた。

「…私は部屋の隅で立つ。興味があるなら、話しかけてくれ。」

言い切りサメラはローブを目深に被りなおして部屋の隅に隠れた。

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