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「さ、会いに行きましょうか。」
今の声はなにだ?トウニ。
…塔に。と言われてもクランの知る塔は二つ。バブイルとゾットの…だが、ゾットの塔は昔に崩れ何処にあるのかも定かではない。いや、恐らくはトロイアの海に沈んでるのだろうか。
ならば行く先は一つ。バブイルの塔だとサメラは判断して、くるりと体をひねり出しクリスタルに背を向けてサメラはパン。と手を叩いた。

「そうでしたぁ。わたくし用事を思い出しましてね。申し訳ないのですが、このあたりで失礼しますね」
「でも、まだ地底だし。それに君一人でもこの洞窟を抜けるのは無理だよ。」
「心配なく!テレポ!……」

右手の人差し指だけに魔法を集中させて、魔法を発動させてからサメラは気づく。

「そう言えば自分に利かなかったな。」

ケロリと言い放ち笑う。まぁこれでしがらみも荷物も無いわけだ。そんな事実を感じ取りサメラ大きく肩を震わせた。

「存分に戦ってっやるさ」

飽きても尚戦おうじゃないか。私こそが戦担なんだからな。
形のいい唇が歪められて、カードを取り出さず道具袋の中の鉄の折りたたみ式の槍を取り出した。

「魔物狩りは私の仕事だしな」

大きな跳躍一つして天井近くに滞空して一気に魔物を片付ける。槍を突き刺すように魔物の肩口を狙い、貫く。刺さった槍を回収せずに足場として踏み二撃目を放つために空に走る。

「やはり、戦場向きだな私は。」

根無し草の質だしな。自らを笑うように放ち、魔法の羅列を紡ぎ、轟音とほとばしるような威力を放ち。魔物を滅して行った。サメラが次に足を止めたのは、せぼての魔物が居なくなった時だ。武人の気迫に圧倒され怯え出ぬ者、交戦的な魔物はたくさんいるがサメラは迷わず全て叩き潰した。「よし、そろそろ行こうか。」と踏み出す頃には、生き物はサメラ以外になく、ただ燃えたぎるカードが足元を赤く照らしていた。

「さ、会いに行きましょうか。」

ぱちん。と手を叩いて振り返っても、そこには何もない。そんな光景を見て取れて、すっかり仲間意識があったな。とサメラはしみじみ噛みしめるのであった。

「さて、私を呼ぶのは誰なのかはっきりさしてやろうじゃないか。」

挑戦的な笑みを浮かべてサメラは、仮面を取った。空いた目の場所に指を引っ掛けて、くるくる回しながら陽気にサメラは洞窟を出て行った。



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あきゅろす。
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