君の愛す父も母もいないですが。
エブラーナ大陸をキャラバンがいた。
世界を周り、娯楽や嗜好品を売りつつましい生活をし、苦しくなれば団員が銘々に戦に赴いたり、色を売ったり、各々で稼ぐ。奇妙な身なりをしたものばかりが集まったからかして、世界は彼らをこう呼んだ。
異端の集まり。
赤華の集団。
三番目の奇術師-Maniac Replica-と。
伝書鳥が、キャラバンの馬の頭に止まり一鳴きすると、茜色の髪の踊り子が伝書鳥から手紙を受け取り、仮の団長の元に駆け寄った。
「サメラちゃん。サメラちゃん。お手紙だよ!」
「有難う、ダンサー。早速読める人を呼んできて貰ってもいいか?」
赤の踊り子は、ツインテールを揺らしながら、とっとこ、歩き出した。サメラは、ダンサー、気をつけろよ。と、念を押しつつ、サメラはため息をつく。
「…団長…」
全滅させたんじゃねえのかよ。伝えとけよマラコーダ。ぼやきながら、サメラは馬の手綱を握りしめた。
彼女サメラ・ルドルフは、世界を救ったご一行様であり、ついこの間で探しついた血縁の家族も手に入れたがる、やはり、彼女自身、根無し草の質が本性を見せ、一カ所にたまるなんてできず放浪を続け見つけたのだ。三番目の奇術師-Maniac Replica-を。
ダンチョがいなくて回らなくなっていた所にサメラが現れた丁度いいとサメラが代理で、しばらくの間勤めていた。
「お兄ちゃんからだった!」
「ん…ダムシアンの国章…ダンサー。」
バロンがよくない動きをしてるから。って、前もって俺が預かってきた。たしか、彼女が入ってきた日にそう言ってたような気がする。
「ダムシアンも落ち着いたから一旦顔をダシにおいで。だって。三番目の奇術師-Maniac Replica-じゃなくて、ポーリュシカ・フォンクリスミューアとして。だって。」
それを聞いてサメラはめまいを起こした。王族というレア度は彼女に通用しないようだ。王族多すぎ。とポツリと呟いた。
「ダムシアンもフッコーして、ポーリュシカを迎え入れる手筈も整ったので。帰ってきたらどうですか。」
君の愛す父も母もいないですが。
君を昔以上に受け入れたいです。
だから、君の保護者と共に一時ダムシアンにおいで。
解読しにくい羅列を翻訳するヴィクセンさんの言葉を機器ながらサメラはため息をついた。式典、ならあいつ等も来る。仕方ない行くか。
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