東の山の祈り子の事を。
…お前たちは知らないかもしれないがあの村には魔物が住んでいた。村の年に一度人を食う喜びを待つ人間のうな魔物がいた。
それがどうしたんだよ。と少年が語る。
「人が、喰われたんだろ。なんで、みんな不思議に思わないんだよ。」
「お前も少なからず聞いた事があるだろう」
東の山の祈り子の事を。豊作と魔物の侵略を防ぐ為に山に3日間こもり祈る習慣を。
「町長の気に入った娘子を祈り子にする。苦渋の決断のように見せかけるのが得意な魔物だったからな。そして、私の番が来た。」
祈る為。なんて言うのは嘘。町長が、祈り子をいたぶり殺す。それが通例だ。いつもな。ただ、私に決められたのは、私が山に薪を拾いに行って、喰われる瞬間を見たから、口減らしの為に、な。私が選ばれるまで一年。瀕死まで追い詰められた時もあったが。
「私の番が間近になったある日、どっかの親切な旅人が、山の主と思える魔物を狩った。」
山の中で、魔物に出会い食われたのか。共に入った町長は二度と町に降りてくる事はなかった。
「ガウェイン。祖父が消えた。と言ってたな、お前は町長の息子、ガズークスの息子だろう。…焼け死んだか。」
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