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リンドヴルムは居ないが。

昼から仕事の前に粗方片付けて、赤い翼の所にいるガウェインを引き取った。
困惑気味の兵士が、隠し子ですか。と聞いてきたので、もの凄い形相で睨みつけていたようでセオドアに「サメラさん部隊長みたいな顔つきになってますよ」なんて言われた。

「どこに連れてくんだよ」
「逃亡さ。」

セシルは仕事をしないからな。それに、たまにの息抜きだって、私にも必要だしな。
フフンと鼻で笑い、サメラは軍施設を抜け、竜舎にやってきた。

「どこ行くんだよサメラ」
「ちょっとな。竜を借りるぞ。」
「兵長!」
「大丈夫だ、記憶がすべて教えてくれるからな。ガウェイン掴まれ!」

壁についた手綱を手早く回収し、手近にいた気品溢れる黄緑の竜は翼を広げ、空に飛んだ。兵の悲鳴があちらこちらから聞こえたのは言わなくてもいい話だ。

「リンドヴルムは居ないが。空はいいぞガウェイン。」

知性は幼子以上、時希には人間の大人のように育つ種もあるしな。シュトラールの記憶が語ってくれた。暫くすれば、竜が風を掴み、安定した頃合いを見てサメラは前に座る少年に声をかけた。

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