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「…め、…回る…」

夜通し話をして、家に帰ればカインの詫びの手紙と飯が置いてあった。勤務は昼から夜の日だ。軽く寝るのも悪くないが仕事をしよう、と自席について飯を掻き込みながら、手紙を読んだ。

「…サメラへ…」

昨日の事は、……する。…まない。今日はガウェインを…誘拐?違う、強奪?…
…読めるか。当てつけのように難しい字を使いやがって。と悪態を吐きつつ飯に対して締めの挨拶。
部屋にガウェインが居ない所を見ると、カインが1日連れ回っているらしい。赤い翼に近い年のセオドアもいる。いい話し相手にもなるだろう。とサメラは思いながら残していた仕事に手をつけた。
バロン領の町の兵の派遣、外交条約、輸入品問題と王を守る以外の仕事を済ませるのも最近サメラの仕事となりつつある。いやセシルが逃げるからサメラに仕事が回ってくるのであって、貴族の血を持たないサメラに対しての仕打ちではない。とサメラは言い張り続けている。事実はどうかなんてサメラしか知らない。

「…め、…回る…」

気のせいだろうと判断したサメラは目頭を抑えつつ書類を片付けた。




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あきゅろす。
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