バッツ・クラウザー 「バッツ!いるのかバッツ!」 廃れた城の中で、サメラは一人声を上げた。ジタンから、誘拐されたと聞いてセシルの手から逃げる為に、駆け込んだのだが、チョコボは居ないし、自らの腕で着たのだが、誰もいないなら無駄な努力だったか?とサメラは考えた。 「バッツ!」 「お、サメラじゃん!」 ……何してるんだ、ゴルベーザと。 サメラの手がピタリと止まって、バッツとサメラの兄を見つめた。 「お前の兄ちゃん、楽しい奴だな!」 なんか、仲良くなってないか?。伸ばしかけた手を戻して、サメラは困惑気味に手をあたふたさせた。 「バッツ?」 「お茶に誘われたんだ!ゴルベーザの出す茶、かなり上手いんだけどサメラもどう?」 「お前って奴は…!」 サメラの拳骨が、ガツリと脳天を直撃。痛さにバッツは頭を抱いてうんうん唸る。 「ってえ!」 「ったりまえだ、痛くしてるんだっつうの!」 というか、マラコーダ。兄さんの利き手は左だ。鋭く指摘すれば、兄さんの姿から本来の姿に戻り不敵な笑みを浮かべる。 「うわ、すっげ!どうやってやるんだ?」 「お前の個性でも出来ないから諦めろ。」 ほら、行くぞ。ウォーリアから雷をおとしてもらうからな。と死刑宣告を放ち、サメラはバッツを引きずった今来た道を逆立ちで帰っていった。 「ほんと、あいつ変わらないなぁ。」 「また私の真似をしているのか」 「ごるびーちゃん鎧脱ぎっぱなんだもん」 「だからと言って…」 わかってるよ。なんて言いながら、マラコーダはケタケタわらってエリアの彼方に消えていた。 「…私の魔石がない…あいつ。図ったな?」 ムッと唇を下げて、ゴルベーザはマラコーダの後を追うって行った。 [*前へ][次へ#] |