フリオニール
次元城を通り抜けようとして前に、見慣れた影を見つけてサメラはチョコボを走らせた。
「フリオニール」
「サメラじゃないか」
怪我はないか。毎日食べてるか?なんて甲斐甲斐しく聞いてくる仲間にサメラは小さくクスクス笑い、次元城のへりに腰を下ろす。チョコボには一旦休憩するから、と告げれば一鳴きしてどこかに走り去って行った。
「なんだか、フリオニールは誰かに似ている」
「俺が?」
「誰だか思い出せないが、以前にもこうしてあった気がする。」
頭を捻れど、その影は思い出せず、やきもきしながら、その影を思い出す。
「…やはり、思い出せない」
「いつか、戻るさ」
だな、なんて言って微笑みあう。刹那、聴覚が違和感を捉え、不思議な音を聞いた。バリバリと空気を引き裂く音だと理解してサメラは後ろを振り返る。
「サメラ。」
視界がぐらりと変わり、フリオニールの顔が近くに映る。破壊音と共にフリオニールがかすかに呻いて意識を失った。
「ふん、罠に引っかかりおったな」
「皇…て……」
「フリオニールを渡せ、小娘。渡せば、お前の命だけは助けてやろう」
「嫌」
きっぱり言い切ったサメラは、使い慣れた武器を呼び出して、辺りを見回すがやはりチョコボは居ない。
「鳥が居なければ動くことさえままならないお前が、私を愚弄するのか?」
「さぁな、やって見なければ解らないだろう?」
ニヤリと笑って、サメラは皇帝に飛び向かった奇襲が功を制して、皇帝を一発でノックアウトする事が出来て、負け犬のようなセリフを吐き捨てて皇帝は逃げてった。
「やれやれ、だな。ケアル」
回復魔法をフリオニールに施して、サメラはテントを作り上げる。フリオニールを無理に動かしてやりたいが今のサメラに出来るはずもなく、仕方なくフリオニールをテントの中に放り込んで、枕がなかったので、膝枕を施して、器用に座りながらサメラもウトウトして眠りについた。あ、チョコボはどこに行っただろうなんて思いながら、サメラは夢の世界に飛んだ。
次に目が覚ますのは、素晴らしい程のフリオニールの大音量の叫び声であるのは、また別の話だったりする。
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