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「くれぐれも、セシルに渡すなよ。」パロム

「姉ちゃん。」
「あ、パロム。」

世界から逃げて、もう何年過ぎただろうか。季節を追いかけるように逃げ回って、たどり着いた街でパッタリとまるで同じ町に住んでるような、そんな感じで出会った。
このままだと、セシルにまた追いかけ回される日々がまた始まる。どうにかして、口止めしないと。と本能が告げた。

「姉ちゃん!今までどこに行ってたんだよ!」
「よし、よくわかったから、一旦大人しくなれ。」

口を無理やり抑え、もがくパロムを抱えて近くの飯屋に流れ込む。手近な空きにパロムを置いて飯を適度に頼んでから、パロムの向かいに座る。

「落ち着いたか」
「姉ちゃん、なんでこんな所に居るんだよ」
「居て悪いか。世界を転々としてるのにいいも悪いもないだろが。」

たまたまここに居たんだと、サメラは放つ。
確かにそうだ、はなから居ると知ってるならば、サメラは次の町に行ってただろう。

「みんな、元気か?」
「あんちゃんの所は子どもが産まれるんだってさ、リディアねーちゃんが言ってた。」

へー。そうか、ローザも母になると。深く頷きながら、サメラは追加の注文をする。まだ、来てもないのに。

「奴らならいい親になるだろう」
「姉ちゃん」
「どうした?」

飯代なら気にするな。魔物を討った金だ。とだけ言って、サメラは近くの店員から注文した料理を受け取って、両の手を合わせた。

「パロム」
「あ、うん。」

いただきます。
エブラーナの食事礼儀は、いたって簡素で意味深いから、旅の中は異文化交流としてよくエブラーナは出てきて、ミシディアは極稀で。世界を一回りしているサメラが覚え切れてない挨拶が、ミシディアとバロンだというから出ないし、回数も限られてる。

「姉ちゃん、ポロムが会いたがってた。」
「そうか、ならポロムにこれを渡してくれ」

とパロムの手に渡されたのは、小さな子ども用の模擬刀をもっと小さくしたモノであった。パロムは不思議そうな顔をしていたが、とりあえずわかった。とだけ返事した。


「くれぐれも、セシルに渡すなよ。」と念押ししてやればグッと黙った。考えていた。と、捉えていいのだろう。

「二週間はここに滞在する。」

それ以降は使えないからな。と釘をさすとパロムはコクリと頷きながら、出されたスープに手を付け出した。

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あきゅろす。
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