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「シュトラール」カイン

「姉さんが居たんだ」
「居たんだ。と言うことは、何か有ったのか?」

トロイアで奇跡的な再開を果たしたカインとサメラとチョコボ一匹は北に上がっていた。ふと、カインが漏らした言葉が奇妙でサメラは、そう問い掛けた。

「俺が小さな時に死んだ」
「…悪い」

不躾な事を聞いた。そうだけ返すと、カインの弁明が始まった。

「優しい姉だった」

誰にも分け隔てなくセシルにもローザにも優しくてな、そして親父のような強さをした、気高い竜騎士でな。

「血は繋がらなくても、自慢の姉だ。」
「…貴族で養子が女とは珍しいな。」

普通は、よその貴族の次男だったり、するんじゃないのか?。とサメラは聞き返す。学はなくても、それぐらいの常識ならサメラもある。世継ぎだ、なんだのと血を重んじる奴らが女を養子にするなんて、到底正気の沙汰とサメラには思えなかった。

「捨てられてたんだとさ、生まれてすぐぐらいでな。」

それを親父が拾ったらしいが、俺にはよく話してくれはしなかった。親父が無くなってすぐ姉さんが俺はまだ幼すぎるからせめて、弟が軍に入るまでは自分を当主としてくれと直談判しにいってな。

「…それで」
「ハイウインド分家がやたら怒ったみたいだが、国王陛下が決めたんだ。不服申し立てなんかしてみろ。」
「…その頃からカイナッツォだったのか?」

それは、知らないが。確実に時間がかかってゴネた分家の立場が悪くなるから止めたさ、表向きはな。

「刺客でも向けてきたのか、お前の姉に」
「ああ。」

それに一回遭遇したが、姉さんが誰を傷つけようとしてんだ。と、やたら怒ってたのを見た。姉さんは自分が血まみれになりながらも、弟で次期当主の俺を守ってくれた。

「お前みたいな人だったが、ある日竜の手綱が切れて落ちた。」

遺体は未だに見つかってない。
バロンの近くの森で、あの日から鎧すらもない、まだ生きていると思いたいが…。

「…カイン。お前の姉なら、お前の心で生きている」

記憶は、色褪せて美化されるが。お前が、姉の居た証明だ。生きているさ、きっと。

「お前の姉の名は。」
「シュトラール」
「…まさかな」
「どうしたサメラ」

いや、たしかうちの三番目の奇術師-Maniac Replica-の団長が名前がそうだったような…ファミリーネームがルドルフ、だから違うはずだが、きっとお前の姉は生きてるさ

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