もっと絞れ!セシル、カイン サメラが熱を出した。 彼女は顔にも出さずに、僕の前を歩いていた。たまに、ちょこっと躓きかけたりするから、問い詰めたらサメラは吐露した。 サメラは体調をよく崩す。今までの旅でも、何度か体調を崩して、行脚を遅らせたりしてたが、今回はかなり酷そうで、熱い体温と、彼女が吐きだした位から体調が一気に変わりだしたから、とりあえず伴侶のカインを呼び出して、医者を呼んだ。 「セシル。サメラは?」 「サメラなら、今薬が効いて寝てるよ」 相変わらず眉間にしわ寄せて寝てるけどね。とセシルが放てば、カインが昔からこんな顔で寝てるのか、と言うあたり、この寝顔は、相変わらずらしい。 「珍しいな、コイツが熱を出すなんて」 「サメラは隠すの上手だからね」 リディアやエッジだったら、すぐに気づいてたはずだろうに。気付かなくてごめん。と言いたげに。と言葉を濁したのを見て、また膝つめ説教でもするのか?お前ら親子で。と強調して、サメラが倒れたから戻ると言ってきたら、セオドアが「サメラ近衛兵長は無料し過ぎです!」なんて昔のお前みたいな顔をしていたぞ。 「流石僕の子だよね」 僕より聡くて親としては鼻が高い限りだよ!とりあえず伴侶のカインを呼び出して、医者を呼んだ。 「セシル。サメラは?」 「サメラなら、今薬が効いて寝てるよ」 相変わらず眉間にしわ寄せて寝てるけどね。とセシルが放てば、カインが昔からこんな顔で寝てるのか、聖竜騎士とは思えぬ形相だ。 「でも、付き合いだしてからは僕よりカインの方が時間多いんじゃない?」 「ん…セシル?カイン?」 「サメラ、起きた?」 眠たげな瞳が、セシルとカインを捉えて、首を傾げる。 「体調はどう?」 「寝たら、なんとか」 「きちんと治したら、わかってるよね。」 「説教だな、わかってる。」 はいはい。と言いたげに、サメラは首を振りまた寝るとだけ告げて、ベッドに潜り込んだ。これなら大丈夫そうだね、とセシルはカインを引き連れて部屋を出て、行った。 「……どうして、あいつらは、こうもお人好しばかりなんだろうか。」 一人残されたサメラは、深くため息をついて、叫ぶ。セシルー。この濡れタオルは、なんだ!もっと絞れ!枕が濡れ鼠じゃないか!と、今日も今日とて軍国バロンに怒声が飛んだ。 [*前へ][次へ#] |