ティーダ
イミテーションの襲撃にあって、仲間たちと分断され、サメラとティーダという奇妙な組み合わせになってしまった。
ティーダの中ではサメラは、何を考えてるか、あまりよく解らなくて、ウォーリアみたいな位置付けをして一瞬の恐怖の種のような存在になっていた。
「のばらー。」
「ティーダ。」
人には名前があるんだ。キチンと呼べ。なんて言えば、ティーダは膨れっ面をして、プイッとそっぽを向いた。
「ティーダ」
「なんっスか?」
「その木…。」
危ないぞ、なんて言おうとしたが、それも虚しくティーダは頭を木にぶつけ、地面に叩きつけられた。
「言わんこっちゃない。」
「…ってぇ…なんで言わなかったんスか!」
「お前がキチンと前を見なかったからだろうに。」
苦言を投げてやれば、ぐぎりとティーダは固まって動かない。なんだ、分かってるのかと思いながら、サメラはチョコボを前に前に歩く。足の骨を折ったサメラの唯一じゃないが移動の足は、一鳴きしてからふらりふらり前に歩いて振り返る。
「ほら、早くしないと置いてくぞ?」
「なんかサメラってお母さんみたい」
「私は子供なんか産んでないし、母親も居ないから、お母さんなんて知らないがな、」
「…あ。ごめん」
「気にはしてないが、やはり、そこまで年相応とは見えないようだな。」
「サメラ、幾つ?」
「私か?私は……幾つに見える?」
ニヤリと笑って、サメラはティーダに問いかけた。
「幾つってセシルと同じでサメラは…」
「さぁな、私は片割れと違う時間を過ぎてから来てるみたいでな」
全く違う時間が故に私もわからないんだ。困ったように笑うサメラの目が、少し悲しそうに感じて、ティーダは口を開きかけたが。
「あ、クラウドだ。ほら、ティーダ、行こうか。」
「そうっすね、サメラ、行こう」
さり気ない優しさを振りまくサメラは絶対に、母親だ。ティーダはサメラの後を追いながらぼんやりと、そう思った。
「おい、こらチョコボ!」
「まちやがれ!」
「バッツ!人の脚を奪うな!あんぽんたん!」
突如現れたバッツに怒声を浴びせながら、鬼のような表情でサメラはバッツを追う。
サメラは怒るとウォーリア並みに怖い、ティーダの脳内に眼前の恐怖を叩きつけた瞬間でもあった。
そして、バッツはセシルに叱られる数十秒前。
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