GBA編。(完結)
刀傷、骨折、持病の勺なんでごされ、こちらの薬!
「はぁい!お目にかかりますは、私しがない薬売りでございます。」
荒らげた声を響きわたらせ、声を張らす。久々な分、感覚を掴みにくいような気がする。人々の視線を受けながら、サメラはニヘラと笑った。
「エブラーナで愛用されている薬を売りにバロンまでやってきました!」
丸粒三粒腹に収めれば、一刻しないうちにたちまち治る優れもの!
勿論、そんなはずはないが…口からすらすら出る嘘は、止まらず一通り説明を施して、三粒一袋を空一面に広げる。
「サメラ、」
「カイン!」
「行くぞ、」
「応。」
人ごみの中を、掻き分けてカインの手を掴み人波から路地裏までやってくれば、一通りの事情を教えてくれた。セシルが。
「サメラ、」
「ついていく」
引っ張られるように、遺体のそばに立つ。
「サメラさんは見ないほうが…」
「大丈夫、戦場でよく立つんで傷はなれてます」
ささやかな心使いをも遠回しに遠慮して傷をみる。
「サメラ。」
「かなりの槍使い。竜騎士や、それ以上の。バロンにはいないはずだ」
セシルや竜騎士が最強なんだろう?なら、民でない…にしても、武器屋の主人が狙われたなんて。
「口封じか、なんかだろう」
「…………なぁ、」
「俺も思った。」
言わなくても伝わるのか、カインは近くの兵に渡して、セシルの方に行った。サメラの視線は未だに死体に向けられていたが、背後から呼ばれ振り向いた。
ローザだ、恐らく彼女も私、サメラ・ルドルフを知らないのだろう。
「ねぇあなた、カインの知り合い?」
「え、あ。うん。そうなんだお父様同士が仲良くてね!私サメラよろしくね!」
明るい少女を演じて、サメラはローザに握手を求める。
「私、ローザ。サメラはいつまでいられるの?」
「しばらくはこっちにいるから、よろしく。」
「サメラ、帰るぞ」
「うん、解った今いく!じゃあねローザ!」
演じるってこんなにも大変だっけ?自分に問いかけながら、セシルさんも今日は宿屋に泊まるらしく、まぁもののみごとに右にセシル左にカインと両手に花で眠…れる訳ねぇよ!なんて一人突っ込み。
「サメラ?」
「ううん!なんでもない!なんでもないんだよぅ!」
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