GBA編。(完結)
これは、語られない一頁。
これは、語られない一頁。
今や調和の神として立つ私が、まだ人間だった時の話。
私と彼しか知らない彼の話。
そして私の昔の記憶。
この二つが語られる。
秘密の話。
私、サメラ・ハイウインドとなる前の私、サメラ・ルドルフと、仲間達は、月の遺跡に入り込んで入り組んだ扉の先を歩く。見覚えのある景色の中を、まるで昔の記憶を訪ね歩くように一行は奥に進む。
「この先に何があると思う?」
「……ただ何かがある、邪悪な気配がすると同時に光を感じる」
片割れに問われ、サメラは具体的でない答えを放つ。頭の中で微かに世バル他ような気もしたが違うのかと頭を振る。
「ほら、次のエリアつくよ」
「あぁ、今行く。」
階段を降りきれば歩いてきた階段が消えた。
「また、扉だ。次は誰の試練なんだろうね」
「ばっかだな、リディア。まだの奴に決まってるだろォ」
「で、まだなのは誰だっけ?」
「私とあとは竜騎士だけだ。」
各フロアで、私達の誰かが基準になってきた。今までも、誰かが基準になって戦った。そして武器やら防具やらが渡された。
「とりあえず休憩してからだな、それでいいよな?」
いつ戦闘になるか解らないからこそ、休息は忠実にとるべきだと、サメラが言い切る。サメラがこう言えば誰も異を唱える事はない、というか唱えた事がない。
「次は誰か見てくるぜ!」
「転けるなよ、年長者。」
野次を飛ばしながらサメラは薪に火を付けてブリザドを唱え氷を鍋に入れる。バロン出身の軍人は、組み手をして傍らの白魔導師は落ち着かないようで、オロオロしている。せっかくの休息なのに、とため息をついた。
鍋の氷が溶けて、簡単に水が出来上がる。サメラは最近こうしてから調理の支度を始める。
「リディア、体に異変はないか?」
「あれ以来なにもないよ」
数時間リディアの時間が逆戻りし、幼い頃の姿になった、それからはなにもないが、やはりなにか有ったら危険だといいリディアはサメラの隣でぼんやり座る。
「ねえ、サメラ。」
「どうした?」
「んん、なんでもない」
「そうかなら、いいんだがな。」
「はい、飯の出来上がり。」
飯出来たぞ、と叫び上げればゾロゾロとよってくる。なんか、保育所かここは、なんて感想を持ち各々の取り皿にサメラは遠慮なく盛り始めた
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