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違和感の存在。

そう言い切ってから、刃こぼれした大刀を地に刺してをセシル役のサメラが黒の鎧を脱いで、サメラの冷たくて優しい笑みが浮かんだ。
背中に差した刃こぼれした剣、かつて共にしていた相棒の大刀が光を放ちサメラが返事をした。「時間、か……はいはい、今行くさ。」と。
勿論、サメラの伴侶はその言葉を聞き逃す事はなく。

「どこに行くんだサメラ?」
「ちょっと違う世界にね」

シュトラールがいなくなった今私が人柱だ。最後がお前たちで良かったよ、手紙は渡ってないのが気がかりだが。

「ルドルフ、最後とか、オメェ!」
「すぐに帰ってくる。きっと、女神はよく代替わりするからな。」

そこで一端目を伏せて、言葉を選ぶ。
私の代わりの妖怪の王を呼びましょう。また違った異説が訪れるんでしょうね。サメラと違う、柔らかな口調で、見えることない空を見上げた。

「さぁ、終わらない終わりの幻想に。」
「サメラ」
「………いってきます」

かすかに唇が紡いで、眩い光が迸った。目を開けられないくらい眩い光が、瞬く間に消えた。ほんの一瞬のような、違うような気もする。
柔らかな光が消えた瞬間に新たな介入者が現れた。

「兄貴ー!」
「父上、カインさん!」
「セシルさん、カインさん、エッジさん、皆さん、居ますか?」

双子の魔導師とバロン皇太子が雪崩れ込んだ。

「ローザさんがきっとここだろう、って仰られたので、エッジさん、セシルさんからお手紙ですわ」
「え、僕から?」
「5日前にミシディアまでお越しになられて」

違う、5日前はもうすでにバロンから逃げ出していた。ならミシディアに行ってエッジに頼んだのは僕じゃない、サメラだ。周りの記憶がないのか?セシルのはじき出した答えだ。

「サメラが行ったんだろう」
「サメラ?サメラって、あんちゃんの知り合い?」

パロムが悩んだ。
その光景に男三人が揃ってやっと、違和感の存在に気がついたタイミングだった。
双子の魔導師がサメラによく懐いているのは既知の事実。姉ちゃん、姉ちゃんと呼んで慕っていた彼らが、覚えてないのが可笑しいのだ。


「パロムもセオドアも自分の姉のようにしたってたのによ、なぁセオドア」
「いえ、僕も覚えはありません」

ハッキリ言う。僕はそんな人知りません。と。
その一言でカインは鈍い頭を奮い立たせた。


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