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もうとまらないし、とめられない。

頭はぼうっとするし、目が回る。だが、こんな時間しかもう残されていない。残りは少ないのだから仕方ないと、ローザに詫びを入れながらも、サメラは街に走り出した。

調べたいが故にサメラは街に出ようと思い足を急げる。
この間のエミリーが嘘をついでまで、街に出たのか。そして、泥が跳ねるような場所なんて、一カ所二カ所と数える程だ。

「………………いや、違う。」

土がつくならば、服もあるていど濡れていたのかもしれない。思いとどまるように踏み止まり、一気に急なターンを決めてサメラはある場所に駆け出した。
濡れてそれなり安全で城から近くて街に通じる場所。

「バロンの水路、だ!。」

あそこなら、休憩場所もあるからテントもはれるし、人も来ない好都合な場所だ、それにエミリーが街から入れば、そこにカインなりセシルなりが待機していれば、あの辺りの魔物も簡単に退けられる。

サッと城の裏側に回り込み死角部に飛び込む。バシャン!なんて鳴ったが、サメラはそのまま気にせず水路の扉を開けた。どうせ見られないのだから。気にする体裁もなく。少し錆びたドアをあてつけのように蹴り開けば清々しい空気が鼻に入る。土臭い臭いもない、明らかに誰かが頻繁に出入りしているのが伺えるし、足元を見れば、タイプの違う足跡が2つ中に伸びていく。

「見つけた」

静かに呟いたサメラは、ドア自体を凍らせて動けないようにしてしまい、閉じ込める。

「街のほうからも、閉じ込めて、だな。」

水路の出入り口は2つしかないのは、昔の経験で知っている。だからこそ決断に踏み切る。

「今晩突入をするか。」

にぃ。っと上がる口角と、全てを決めた瞳は、何を言っても変わらない。空を見上げれば、朝の光がさんさんと差す、城の上部にセシルの部屋も見える。正解だと思いサメラの目は静かに光を得た。
人数は最小限にして夜半の突入計画を決めて、城に戻る。
そろそろ戻らないとローザが心配するだろう。

とりあえず仕事を片してから眠ろう。頭で予定を立てながら一気に城壁を駆け上がる。

「なんか、わすれている気がするが。ま、いっか。」

覚えてないのはしょうもない事だと決めつけて、サメラは忘れている事実も放置した。


もうとまらないし、とめられない。
(絶対に血祭り。)

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あきゅろす。
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