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正しくは、分身だ。

「サメラ?顔赤いわよ」

朝一発目がそうだった。そう隣のローザに言われて熱っぽいのがよくわかった。まぁ、ただの風邪だと判断を下し、自分で作った薬を流し込んで、時期に眠ると言い切った。

「そう言えば…」
「そう言えば?」

吐きそう。サメラは再びベッドに崩れ落ちた。五日目の朝。

「サメラー!」
「……毎日が祟った。」

無理して仕事を入れるんじゃなかった。と、近くの枕に頭を押し付けた。隣でローザが、氷用意してくるわね、と走っていくので、止めた。

「ブリザド。」

枕サイズの氷の固まりが、サメラの上に置かれた。冷たさを楽しむようにサメラは目を閉じて、静かに息をする。

「サメラ、大丈夫?」
「寝てたら治る。ローザ、少しだけ、」

少しだけ、手を繋いでいてくれないか。ぽつり呟くと、ローザはまってましたと言わんばかりに、サメラの手を握る。

「少しなんて言わないで、起きるまで繋いであげる。」
「…ありが、とう…」
「ふふ。」

なんだか、昔のセオドアを見てるみたい。なんて思いながらローザはサメラの手を掴む。

「昔と変わらない手をしてるわね。」
「…ローザもな。」

長年剣を握った所為で出来た剣タコと少し黒いインクの色がついている。

「昔より堅くなってない?」
「よく握ってるからな」
「夫婦喧嘩なら、城の外でしてね」

お前が言うなと言わんばかりのため息を一つついて、頭を抱えた。昔このハーヴィ夫妻は夫妻喧嘩で最上位白魔法、ホーリーをぶっ放しているのを知っているからこそ、言える。

「…ねぇ、サメラ。」

声をかけたが反応はない。サメラは沈黙を決めたように寝ている。

「サメラのためになるご飯を貰ってくるわね。」

ぱたり。と扉を閉めた音を聞いてサメラはパチリと目を開いた。周りを確認して、周りに誰もいないことを確認する。「よし、いくか」布団の中に枕を押し込み言霊をサメラは発する。

「新聞!…」

しーん。

「…文鎮?」

……何だったっけ。サメラは必死に術を思い出すために頭を抱えた。この間教えてもらったのに、もうそんな年齢になったかと自問自答したが答えは出ず。

「文鳥!」

正しくは、分身だ。
何回か試してみたが解らずサメラは投げやるように、枕を布団に突っ込んでさもいるように見せかけ飛び出した。

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あきゅろす。
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