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狼の牙を向けようがサメラは獅子の爪を持つぐらい比べようのない比較対照である。

長い道を面倒くさがって塔の上から下まで落ちるように移動するねが楽だからサメラは今のように落ちて移動し最寄り階の窓から飛び込むように入る。ただし夜に限る。昼間にやれば国王夫妻から大目玉を食らうのは学習済みだからだ。木々をクッションのように使い、一階の窓から入る。窓の横からすぐシャワールームに繋がっているので、身につけている靴を脱いだ。
ひたり、ひたり。シャワールームの石の廊下に水の音と足音が混ざる。深夜だからこそ人が居ないし、恐れる必要もない。例えそれが、野郎共用(男性兵士用のゴチャゴチャしたシャワールームでもだ。王の次の権力を持ち、王でさえも太刀打ちの出来ない戦闘をこなしてきているのは、既知の事実だ。狼の牙を向けようがサメラは獅子の爪を持つぐらい比べようのない比較対照である。
脱衣場を素通りしして銀で出来た握り手を回せば水が振り落ちて、銀糸を濡らしていく。冷たい水が体を浸していくように、思考を落ち着かせていく。深呼吸をし冷たさにその身を任せて、沈黙を保つ。何を考えようか、と逆に時間を要する羽目になりそうなので強制的に終了をさせた。寝間着を持ってきていないので、仕方なく濡れネズミがファイアを唱え自宅への道を足取り重く歩く。明日もまた早いのだから、早く寝なければ、と思うにつれて足は重たくなっていく気がする。
違った意味での労働は疲れる。なんて思い窓の外を眺める。
この半年も満たない期間で、かなり女々しくなったような気がして、気持ちが落ちて廊下の隅でうずくまる。

「サメラさん?」
「…セオドアか。」
「体調、悪いのなら送りますよ?」
「自己嫌悪だ、気にするな。」
「ははう…サメラさん。」

…言い間違いか?。と問いかければ、セオドアは俯いたままになった、恥ずかしかったのだろう。と判断を下して、明日も早いのだから早く寝るように、と釘を差してサメラは一気に自宅へ走る。背中でセオドアが「はい!」なんて言ったような気もするが、気のせいだと決めて、数十分ぶりに自宅にたどり着く。

そろそろベッドに潜り込もうと決めてたがベッドでカインが書を開いていたので、気にせず飛び込んでやっとカインはサメラの帰宅に気がついた。

「あ、帰ってたのか?」
「寝てるような気がしたから、…気のせいだった。」


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あきゅろす。
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