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孤独な国王陛下

「私が悪い。許してくれとは言わない。」

サメラは、ひどく泣きそうな顔をして、「明日からは、真面目に対策を練らないとな。」と呟く。しばらくの予定を一気に作り上げて、頭の中に叩き込むと、明かりのついたハーヴィ宅のベットに潜り込んで、「ごめんローザ。だから、守らせてくれ」言い聞かせるように、謝罪を述べながら、眠りの縁についた。こういう形で1日が終わりを告げ新たな朝になる。


目が覚めた。目前広がる天井で、昨日を思い出して後悔ばかりが残る。片割れも伴侶もいないんだ。思い出すと同時に、自分の中にやるせなさが隙をつつく様に染み渡る。体のどこかが満ち足りない感じが、過去を思い出して。
…早急に対象しなければならないんだ。感じるな考えろと叱咤する。

「サメラ?」
「ローザ、話は覚えているよな?」
「もちろんよ。セシル」
「ならいい。」

ため息をひとつついて身仕度を整えながら考える。…これは、誰にまで言うべきなのだろうか。と考えたが、広げる必要性はない、広げても目の届く範囲までだ。ならどうするか考えて口に出した。

「補佐までかな。」
「何が?」
「事実を話すのは何処までかの話だ」
「サメラ無理しないで頂戴、あなたまで居なくなったら」
「零から生まれた魔術師、三番目の奇術師-Maniac Replica-が簡単に居なくなるか。」

部屋を出て行きしなに意志表示をして、セシルは部屋から出た。
今日は、補佐官がくる、
必要性のある書類は後回しにして、まずかからなければならない事に手をつけるためにセシルは執務室に歩いて行った。

「負けるか。」

血が滴るほど握りしめた拳をほどいて考えてみた、優先すべき事とそれ以外に割り振って、がむしゃらに進んでいくしか無いのだ。

助けてやるための反撃だ。言っただろ、カイン。いつか、きっと誰かを巻き込むと、な。肩を落として、ため息。ため息をつくと幸せが逃げるなんていうが、そうなれば裸足で逃げているんだろうな、と考えた。

同じラウンドに引きずり落としてやる、宣戦布告と言わんばかりに、口頭にして鋭い眼光を放ちながらセシルの姿をしたサメラは黙々とバロンの廊下を歩いて、靴を鳴らす。孤独な国王陛下の後ろには、悲しい靴音を追う様に残る血の跡がひっそりと何かを語るかのようだった。

大それたことを望まない。
(陛下、廊下を汚さないで)(あ、すまん)


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