今のパーティはむさくるしい男ばかりだ。
「……はぁ。」
人知れず、サメラは小さく溜め息をついた。三又路で、まっすぐ進むか、折れるか。すこし自問自答してみた。
「まぁいっか。」
ぽつりと漏らして、サメラは進路を真っ直ぐに決めた。しばらく歩いていると、考えてしまうのは、怖い事ばかり。
最悪の未来、最悪の出来事。そして……。
「嫌、だな。」
自分の知りうる人が居なくなるのが。自分を知ってる人が消えて行くのが。自分自身を理解する人が……。
「ローザ。」
静かに眼を伏せて、囚われの身の白魔道師を思った。
大丈夫だろうか、危ない橋を渡ってないだろうか、怪我はないだろうか、病気は…。巡る思考は、段々と悪い方向に走っていく。
「……駄目だ駄目だ。」
ふるふると静かに首を振って考える事を止めさせる。
こう考えてしまうのは、自分の悪い癖だと重々承知しているが、癖とあいうのは恐ろしく治らない。
「前に進もうか。」
再び進みだそうとした刹那、「お待ちなさい」と声が掛った。一瞬セシル達か、と思ったがセシルは女言葉なんて使わない。
今のパーティはむさくるしい男ばかりだ。
敵か。半ば投げやりにサメラは武器を構えた。
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