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似てるかどうかなんて、わかりかねるが。

ヒュン。ロッドが空を切って鳴る。鈍い音が鳴って、後ろに退いた。

「爪。」

手にしていたロッドを背中に背負う弓矢の筒のなかに入れ、オーガの懐に飛び込む。動きながら、ベルトを通した爪を装備して体の捻りを加えて、爪で引き裂く。
痛みに反応をしめした腕を足場にして、軽々と後ろに下がった。

「一丁、あがり」

声を上げて、すたり、とセシルの横に戻る頃には、オーガは息絶え地に伏せる。サメラの身の軽さは、親友の龍騎士を彷彿させた。

「身軽だね。サメラ。カインみたい。」
「…セシルの親友に似てるかどうかなんて、わかりかねるが。…まぁ、唄も踊りもなんでもこなしたからな。売り歩き、余興、大道芸、武術。一通りの基礎は出来ている。」

最後尾を歩きながら、武器の細部まで見て、そう言葉を返した。

「…………。」
「のぉサメラ。」
「……」
「お主は前に来たのかの?」
「一応は。扉が一つあったぐらいしか覚えてないが。」

…あの時は、団長が金属を装備していたからな。よく考えてみれば、世界の洞窟はほぼ回った気がする。

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