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嘘か誠か。

サメラが、地を駆ける事をやめたのが、しばらくしてのことであった。

「粗方片付けたし、ギルもそれなりに手に入った。このあたりで金属系統の武具を一新して、今の装備は持っておいたほうがいいと、私は思う。」
「どうして。」
「この先になれば、解るはずだ。」

解らなかったら、その時はその時までだ。諦めろ。と一喝してトロイアに向け歩を進めた。ザグザクと、草根を掻き分け、短刀で切り刻み、歩き易いように踏み硬めながら進む姿は、勇ましさを与える。

「サメラって強いよね」
「か?」

顔だけも此方に向ける事もせず、セシルの声に答えながら勇み足はまだまだ続く。

「鍛えてやろうか?」
「いや、遠慮しておくよ」
「このあいだ、ヤンに勝った。そういえば」
「ヤンに勝ったの!?サメラ」
「鍛え方を聞かれたから、答えたら青い顔をしてたな。……さぁ、見えてきたぞ。トロイアの城下町だ。」

宿の手配をして……武具を揃えて、情報を集めて…。と、指折り数えながら、予定を立てた。
セシルの耳には届いたのか、母親みたいだね。と小さく漏らした。

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あきゅろす。
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