一悶着始まるがな。
トン、と軽い音を立ててサメラは飛空艇から地面に降り立って天を仰いだ。
「ここも、相変わらず。だな」
「ここにも来たことが?」
「キャラバンで何度か。」
小さな町、大きな城に寄って、その地特有を買取ながら、他所の地で売り捌くのがウチのキャラバンだった。
「だった……その方々は。」
「解らない。途中で、降りたからな。まぁ、何処かで会うさ。」
肩をくすめて、小さく笑った。
「会えるといいですな!」
「あぁ。取りあえず町に向うべきだが、老師いかがする?。」
「町に向かうかのォ。」
「うっさい、ジジィじゃ。ちぃと黙らんか」
「ジジィにジジィと言われとぉない!」
テラとシドが、またケンカをしている。妙な所で、気の合う二人だな。と思いながら、サメラは胸深く息を吸った。少し湿気た空気が、肺の奥まで届いた。一杯一杯吸い込んでから盛大に吐き出した。
「仕方ないね、あの二人。」
「まぁ、なんとかなるさ。セシル…まぁ町に着く前に、一悶着始まるがな。」
剣を抜いて、緑の中を白ともとれる銀が駆け抜けた。
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