静かな闇。
ふと、サメラが我に帰った時には、そこは既に闇の中だった。
静かな闇。
暗い。
何も、見えない。
静かで、寂しくて。
立っているのか、何をしているのか、解らない空間に不思議さを感じた。
目を閉じても、耳が音をさがして、耳鳴りを催している。
キーン、と声高な音の中で、低い声が聞こえた。
我が娘…。
「だ、…れ。」
舌に音を乗せると、光は淡く光を放ち、クルクル体の回りを回る。もうずっと声を出していなかった様で喉が痛い。
我が娘、サメラ…。
長い間待っていた。声が聞こえるのを。
今、私にとってとても悲しい事柄起きている…。
お前に力を授ける。
抑える力を。
そうすることで、私は更なる哀しみに包まれる。
「あなたは…だれ?」
しかし、もう術がない。
ただ、息子達に一言…伝えて、…くれ。
。と。
娘、それから息子達。
問題を巡らせ、砕いて、言葉を一つ。
「あなたは、とうさん?」
映像が、砂嵐で包まれて。
遠くに遠くに消えていく。
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