亀は食えたか。
「亀は、食えたか?…。」
「え、サメラ?」
素朴な疑問だ。と、ぽつり、と呟いて、剣を鳴らす。
「冗談だ。」
小さく笑って、剣を握る。刃を振れば剣から水が走る。視線を剣からカイナッツォに向けて、動向を伺う。
遠目で伺えば、カイナッツォを中心として波のように水を集めている様に見える。
「…パロム、サンダーを!」
「姉ちゃん?」
別の呪文を唱えていたパロムが、声をあげた。
「もう遅い!」
クワァッ。と言う声が耳に届いた刹那に、ザブザブと水の音が響く。視線を音の在り所を見て、反応が止まった。
津波。それも、おおきな。因みにここは、軍国バロンの謁見の間。水なんて全く……否、王の姿を成していたカイナッツォが発生源だ。と弾きだされた。
「なんだアレ?」
「パロム、ポロム!」
魔道師の首根っこを掴んで壁側に引き寄せる。「離れるな。苦しいかも知れないが、我慢だ。」放って、甃に確りと剣を刺して、盾の様に遮る。
背後からかかる冷たい水に、押され、肺が圧迫される。ゴボゴボと口から、泡が上に上に上る。
苦、し…い。
だ…れか…。
最後の一山を吐ききって、サメラの意識は無くなった。
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