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「…セシル、バロン国王も気をつけろ。」。


人型蛇、というべきか。三つ頭の蛇に、足。…あんまり形容しがたい形のベイガンだった魔物は牙を向ける。

「……」

人の姿をした魔物。
あるべき姿を無くす程の力を得るが為に、そうなったのか?

「…なぜ。」

小さく放たれた疑問は、誰にも届かず、消えた。

「サメラ!」

遠くで名前を呼ぶ声に、ふと我に帰る。青白いベイガンの腕…だった蛇が此方を向いている。

「だから、私は逃げるような女じゃない。」

迫る腕にも、動揺せず愛着ある剣を抜き取り、握って前に刃先を突きだす。突如出された剣を見て、ベイガンが動きを止めた。その隙をついて、一太刀入れる。剣は、動かなくなった一匹目を貫通し、人間で言うならば、胴体に傷を付ける。

勢いよく剣を引き抜くと、命の証が溢れ落ち、ベイガンは地に崩れ落ちた。

「サメラ、大丈夫かの?」
「大丈夫。傷はない。」
「まったく、お主にはヒヤヒヤさせられるわい。」

テラが異常がないのを確認して、ふむ。と頷いた。

「ベイガンまでも…」
「…セシル、バロン国王も気をつけろ。」

この国はおかしい。そう付け加えて、一行は歩く。

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あきゅろす。
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