扉を押し開けると
所々腐食した扉を押し開けると、何日ぶりの様に感じる太陽がそこにある。
「…バロン、か。」
「あんちゃんの育った城かー。」
「セシル殿の故郷でしたな」
「……そういえば、そうだったな。」
銀の髪を束ねて、水路を進む。
ジャブ、ジャブ、と深くなる水路は、深い。
「ポロム、おいで。ここは深い。」
「申し訳ありません、失礼しますね。」
「気にする事はない。」
先ほどと同じように、背中に温もりを感じて背負う。それから、立ち上がり、水の中を進む。
隣にはセシルが歩いている。
「この先に、城内に入れる場所が有るから。」
「そう……。」
軍国バロンに身を置く敵、ゴルベーザ。
戦わなければならない敵。
倒さなければならない敵。
「サメラ?」
「…なんでもない。考え事だ。」
「サメラさんとセシルさんって、似てますわね。」
「……そうか?」
私は、ダムシアンとファブールルの真ん中の町で生まれ育った。セシルは仲間とこの城で育った。
だから、私とセシルでは、生まれ育った場所は遠すぎる。
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