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「……サンダー。」

「大丈夫?二人とも。」

唐突に耳の後ろからボソボソと聞こえる声に、サメラは身を硬くする。

「セシルさん、ありがとうございますわ。」
「た、……助かった。」
「姉ちゃん、顔赤い!兄ちゃんに照れてんだ!」
「……サンダー。」
「姉ちゃん発動しないからなー。」

右手には、バチバチと音を立てて雷光が走る。

「パロム」
「わ、分かってるって姉ちゃん!悪かったよ」
「分かればよし」

言うと同時に稲光は瞬く間に消えて、そこには何もない。

「サメラさん。今の魔法…」
「使えてたよねサメラ。」
「……無我夢中でしてたから解らない。」

先ほどまでバチバチ音をたてていた手は、まったく反応をしめさない。

「……細かな事情はバロンを出てからにする。」

ここはあくまでも、敵地。些細な事を気にしていれるか。
一言放って、ポロムを背負いなおして、水に足をつけて歩きだす…二三歩いてから、振り返る。

「セシル、行こう。」

ゆっくり手を差し出すと、セシルはその手をとって、行こう。と返す。それに小さく微笑んで、サメラが歩きだした。

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あきゅろす。
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