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怖いんですけど。

すこし色の剥げたカップに温い紅茶を入れ、ぐいっと駆けつけ一杯。本来の飲み方ではないのは理解できるが、ちびちび飲むのは好きではない。どちらかというと、バッサリ、サックリが性質であり本性だ。

「……クシュ。」
「髪の毛乾かしてない?ほら、タオル貸して」
「せ、セシル!!放せ。自分で出来るから。」

グイッと体を横に反らしてセシルを見る、物凄くニッコリしている。
……この笑顔に見覚えがある。背筋に冷たいのが流れる感覚は、このあいだも味わったし、それがたしかホブス山だった気がする。気どころではない。あぁ確かアレはローザだったななんて、思う自分がアレな気がする。似たもの同士というやつか、アレは。

「ほら、大人しくして。サメラ」
「……う……」

逆らえない。逆らえない。……こんなに逆らえないのは、キャラバン並だ。理不尽だ。逆らえない地位の低い自分もだ。

「はい、座って。」
「…………」
「サメラ?」
「……」

逆らえない。……ちょこん、と床に腰を下ろすタオルが奪われると同時にお日様のにおいが鼻をくすぐる。

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