空が光った気がした。
なんで、たまたまあの町に帰ろうとしたのだろうか。寄らなかったら、知らずにいれたのに。
「…情けなっ。自分が。」
なぜ、自分なのだろう。
どうして、人が居なくなったんだろう。
生まれた町にも、育った町にも見捨てられたのだろう。
ぐるぐる回る疑問が、頭の中で循環する。
……考えてもしかたない。ため息を一つついて、空を見上げる。二つの月が浮かぶ。朝もそろそろ終わる頃故か、月が薄く感じる。
月と太陽が、同じ空間にあるのは不思議に思う。
空がキラリと光って、それに目をこらす。……何もない、気のせいだ、と言うように、空が青い。
「そろそろ、帰ろうか。」
双子が心配するだろうし、小さく呟いて、肩にある大刀を背負い直す。カチン、と甲冑と剣が触れて高い音を出す。
……フシュルルル…………。
物音を聞きながら、何かいるな。と、考えながら、下り坂を歩いて行った。
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