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あの町が、始まりであり。あの町が、墓場。

最初に会った時の様に、迷いなく青の瞳がセシルを捉える。風で銀の髪が舞い、揺れる。

「いや、来たって、ポロムが言うから。昔、ここに。」

しどろもどろ言葉を繋げて、どうにか理解できる文章になったのか、サメラが頷いて視線を落として、言う。

「…一度、来た。もっとも、何年も前に。だが。……旅の途中、修行を兼ねて罪を流しに。」

元々私は別の町で産まれたが。
ある日町は、誰も居なくなり。
あの町の町長が拾ってくれた。

町は、私を受け入れらなくて。
産まれた町に人が居ないのも。
私の所為だ、と人が影で言う。
心の中で納得する自分が居る。

燃えてしまった町がすべてで。
私はあの町が、始まりであり。
私にはあの町が、墓場である。
嫌われてもそう思っていたい。

大人になってから、気付いた。
生きる為の自立はあの町では。
出来ないと確信し飛び出した。
…だが、何も変わらなかった。
私はセシルより遥かに小さな。
運命だった。と言うだけの話。

「今はこうして生きている。」

すべてを受け止めて。
すべてを記憶して。

生きていけば、いい話なだけだ。


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あきゅろす。
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