カインは理解した。
「傷口」
「は?」
「お前、何のために家に招いたと思ってる!」
「クエー!」
「ほら、血の匂いがするって文句言われてるぞ。」
お前、チョコボと意思疎通するな!キツメの暴言一つは、無理矢理握られた手によって強制的遮断される。
「傷口出せ。」
「…。」
「行け!チョコボ」
「ま、待った!」
鋭利な嘴を揺らしながら、チョコボは浮かれ気味にやってくる。鳥は苦手じゃない、どちらか。と言えば、好きな方だが。本能的な直感で、コイツとは反りが合わない。とカインは理解した。
「傷口、出さないと治療出来ないだろ?」
「あぁ。」
「染みるぞ」
「構わない」
サメラは、小瓶の液体を脱脂綿につけて、遠慮なく傷口に宛てた。小さく漏らす声を聞いたが、配慮の塊すらない。
「お前なぁ。」
「怪我。するから痛むんだ。」
「怪我させた奴の言い種か!」
「ほっとけ」
適当に包帯を巻きつけて、治療完了と言いながらサメラは傷口を叩いた。呻き声が聞こえたが無視。
「ここも見つかってしまったか。誰も知り合いが居なかったから、この地を選んだのだか…仕方ない。出るか」
あくびを一つ漏らしながら、サメラはチョコボの頭を撫でた。
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