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その馬鹿を止めろ!

「お前、泣くな。」
「…大丈夫、もう泣かない。」

頭に乗せられた大きな掌の暖かさを感じながら、サメラは頬を緩めてその手を握った。

「行ってくる」

言うだけ言って手が離された。カインは離れる手を見て、血色が通わなそうな青白い手は冷たい印象を与えるな。と戦闘中に馬鹿な事を考えて自分の手のひらを見た。
そこにあるのは少し暗い赤色。

「あいつ。…セシル、その馬鹿を止めろ!!」

放つ怒声はセシルが反応するまでに時間が掛かった。その間に、サメラはセシル達を縫うように避けて、真っ直ぐゼロムスに飛びかかった。

「ゼロムス、覚悟っ。」

足跡を辿るように赤が追うのが見えた。使い古した大刀を構えて、サメラは地を踏み込んだ。大きな跳躍で一気に距離を詰める。一瞬、黒が膨れ上がりサメラはソレを利用してゼロムスの腕を切り落とした。

「リディア。」
「え、あ?。えと、ミストドラゴン!」

リディアの背後に現れた翠の色を持つ龍が、霧を吐いた。視界が白く濁るとゼロムスは怯んだ。

「…ブリザガ!」

氷塊がゼロムスを貫通して、穴をあけた。そして空かさずサメラが足を切り落とした。

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あきゅろす。
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