「むっつは飛ばして、ななつは意思だ。」
「ゼロムス。」
サメラがニヤリと笑えば、ゼロムスが手を伸ばした。左足の力だけで横に逸れて、よそに飛び移る。
「サメラ。」
「大丈夫、だってセシル。」
肉体はボロボロでもね。
貴方が幸せなら私も幸せ。
だから、苦しくないんだよ。
「ひとつ、同じラウンドに立て。」
迫り来る手に、一撃を決める。
すこし身を屈めて決めた攻撃はゼロムスの肉体に穴を空ける。
「ふたつ、基本は三倍で利子付。」
開けたのを確認してサメラはインシデントソルジャーをいつもの形にして投げ出した。
「みっつ、ハンデは粗方無くせ。」
踏み込んで、ゼロムスの上空へと飛び上がり急降下をするために空から勢いよく落ちて、ゼロムスの脳天に踵から着地する。
「よっつ、先手は勝利への鍵也。」
言い切って、すぐさま余所に逃げる。
軽い身を捩らせて、ゼロムスの攻撃を避ける。
「いつつ、守るモノを明確せよ。」
何を守るか守らないかで、絶対的な強さは変わるものだ。
迫る手を、バックステップで距離を開けて、静かに目を閉じた。
「むっつは飛ばして、ななつは意思だ。」
綺麗な姿勢を保ち、サメラは振り返る。
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