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いや、絶対解ってないから。

ピタリと刃はセシルの数センチ手前で止まる。だけども笑みは変わらない。ニッコリと笑ったままだ。

「サメラ?僕さ、前から言おうと思ったんだけど。」

また、何か隠してるでしょ。
ニッコリニコニコ。と笑い続ける親友はもう完全に『何か』はきてるみたいだ。
問い詰められてる本人は、結構冷や汗をかいている様に見える。

「視線、逸らさないんだ。……また、嘘吐いてるよね?」

セシルの威圧感醸し出すオーラに向けてサメラは首をブンブン振った。……ヤバい。と思ったのかサメラは慌ててセシルと距離を開けた。
その判断は正しい。とカインは傍目で思った。だが、もうそれは遅すぎる判断だとも思った。
セシルが鬼軍曹になったのだ。

「サメラ?」

ニッコリ笑う麗人は、荷物からサメラの愛用鍋シリーズを取り出した。重たげな鍋を振り上げた。

「せ、セシル。」
「わかってるさ。カイン。」

いや、絶対解ってないから。

苦労人カイン・ハイウインドは人知れず盛大なため息をついた。

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