「た…おす?」
何を見ているのか、何を感じているのか解らない。いつもなら綺麗に笑う青は酷く暗い。何時もの大刀を手にそこに立っている虚ろな片割れ。
「サメラ。」
「すべてをたお、す。」
ポツリと吐かれた言葉は、静かに消えていく。その先にあるのは、セシル達。名を呼べども、返事はない。静かにサメラの相方がゆらりゆらり揺れている。
手の中のクリスタルが光を放ち、クリスタルの中で青い炎が燃えた。
「兄ちゃん」
「私たちの魔力を送るわ!」
「みんな勇気を!」
「なせばなる! 自分を信じろ!」
「精神を集中させろ!」
「必ず帰ってくるんじゃぞ!」
「月よ光を与え給え!」
「我が弟よ!お前に秘められた聖なる力をクリスタルに託すのだ!ゼロムス!正体を見せるがいい!」
聞こえる仲間達の声。地上のクリスタルと応呼して、声が聞こえて光の粒子が空を舞う。
「雪…みたい」
隣から聞こえる小さな声。青き星の仲間が倒れた仲間に願いを届けたんだ。セシルはそっと目を閉じて、心内で礼を言う。
「……ルドルフ、ゼロムスを倒すぜ!」
「た…おす?」
エッジの言葉に応えたサメラが首を傾げた。
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