そこに見えるは光。
「なにがどうかなんて解らない」
ただ不意に世界から重さだけが無くなって。
宙に浮く感覚がサメラを襲った。
そこにあるのはマラコーダ。ただ一人。
本能的な直感で敵を討つ。
学もなにもない頭には、それしかなかった。
大刀も、インシデントソルジャーも握ってる感覚しかなかった。
特有の重さも感じない。
飛んで、踏んで、討って、落とす。
流れるような曲線で動く姿は陽炎。
ゆらゆら揺れて、すぐに消える。
「でも、なんだか、怖くて同時に快感を得た」
敵を討つ快楽が、武人の性。
研ぎ澄まされる感覚に一瞬の緊張は、水の中の波紋。
揺れる緊迫感の中に、落ちる。
静寂のなかである有が快楽だとサメラが言う。
「暗黒…か。」
ポツリと零れる声は誰も拾う事なく、砂礫の大地に飲み込まれていく。
そこにあるのは闇。
そこに見えるは光。
眼下にある鎧はどちらも携えた鎧である。
「…とりあえず先に進むか」
「そうだね」
双子の以心伝心をして、足跡一つ出来上がった。
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