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幸を運ばん事を祈って。

懐に走り込むと、マラコーダはそれ相応の対象を取るのは知っている。だから、あえて、目下で飛び上がり、背後に回り込んで、突いた。肉を割く独特の感覚が手を伝う。あんまりよろしいものと言い難い硬さの中からインシデントソルジャーを抜いた。

「武神事変-Satellit Reacter-。」

細長い指が頬を触れた、冷たくてまるで氷のような繊細さと、図太さとを兼ね備えて、マラコーダはニタリと笑った。

「四天王によろしくな。あと、お前の鎧を壊したから、これを使えばいい。」

ああ、この人は知らないのだ。仲間が、この世界に居なくなったことを。
頬を滴が伝う。こぼれ落ちて、潰える。

光と闇、そして四大元素が武神事変-Satellit Reacter-に幸を運ばん事を祈って。言い切るとマラコーダの冷たい指が、突然と地面に落ちる。

「…………」

瞼は堅く閉ざされて、その中を見ることはない。

「ありがとう、マラコーダ。」

取り囲む炎が弱まった。脆い場所を選んで、仲間達が駆け寄る。流れる血も拭うのが鬱陶しくなって、へたり込んで、息をつく。

「…とりあえず、寝たい。」

自分の願望を口に出して、サメラは瞳を閉じた。

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あきゅろす。
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